こちら 信州自然情報局のトップページに戻ります。 東信支部のロゴ。
 
目次に戻るvol.0000〜0199 1つ前の情報に戻る

信州環境ネットのロゴ。
過去の掲載情報 
●FreeML<信州環境ネット>の紹介です。
URL等は発信時点の参考情報です。
ただ今、参加者を募集しています!!
信州の自然環境や生きものについて、みんなで情報交換してゆきましょう。
<信州環境ネット> に入ろう!! [MLの詳細]  
FreeMLのロゴ。
FreeMLのトップページに移動します。
メールアドレス登録
 ※ML参加時に自己紹介をお願いしています。
情報名 :猛禽類調査の定点設定の問題点 =熊本,川辺川ダム= No.0089
   発信日 : 2001−02−16日

<信州環境ネット>の皆さま
ワシタカフリークの皆さま、

小野寺@信濃公害研 で〜す。

寒い日が続いております。
南部では今朝は雪だったそうですね・・・。
東信は朝は青空のいいお天気、午前中は強い風にのった雪!
現在は晴れています。めまぐるしい日です。


さてさて、
 自然保護協会のサイトで、猛禽類調査における定点の設定がペアの行動に影響を与え、
行動圏や保全対象地域の判断を誤らせたのではないかという指摘がされていました。
今回のケースではダム建設で使用される原石採取地の取り扱い方を巡って、
調査結果の違いとその原因、及び得られたデータとその判断が論点になっています。
 業者が調査を行うときには、少ない予算(税金)で有効なデータを得るためには、
どの時期にどのような調査を、どのぐらいの規模で行うべきかとても迷う問題で、
事前調査なしでどのような生物の生息予想が可能かどうかは、担当者の技量に
寄るところが大ききと思います。
しかも、ほとんどの場合、調査日程や人員の変更はできません。
この点、調査の進行に伴って、調査頻度や方法などが調査グループ内の盛り上がりによって
自由に変更できる、ボランティアでの調査とは異なっていると思います。
ある地域の環境を保全する際の問題点をいろいろと含んでいると思いますので
以下に概要を紹介します。皆さまは、どうお考えですか?

ちなみに、計画されている川辺川ダムは九州で2番目に大きなダムですが、
公示が昭和51年であるため、法アセスの対象となっていません。
法アセスですと第三者による審査や、実施方法や結果を決定する前に公表し、
だれでも意見を出せる、事業者には代替案の比較検討が求められる。
などの規制がかかります。


●忌避効果をもつ観察ステーションを目立つ位置に設置したことは、適切さを全く欠く

<<<<以下、概要>>>>
<これまでの調査のいきさつ>
 熊本県の球磨川上流、川辺ダム(藤田谷)計画地で行われている猛禽類調査で、
クマタカの繁殖が確認されています。このペアの営巣地は、工事で使われる原石採取予定地に近く、
影響を受けると懸念されています。
 このペアはダム計画地周辺では最も繁殖成功率が高く、建設省(現、国土交通省)川辺川工事事務所
(=以下、事務所)で行われた調査では「繁殖テリトリーをかすめているが行動圏内部の重要地域の
境界にあたる」として影響は小さいとされたが、自然保護協会と熊本県クマタカ調査グループ
(=以下、協会側)が独自行った調査では、原石採取地は「繁殖テリトリーとして重要な範囲」として、
繁殖の継続に重要な地域との評価が出た。
クマタカ繁殖期における行動圏とその内部構造の判定結果が異なることから、原石採取地を
どのような位置づけで判断するか対立している。

 これらの結果の違いは判断の元となった双方の調査結果と解析に違いがあったためと考えて、
双方の調査グループの協議が2回実施された。この協議で事務所側の観察定点の資料が提出され、
調査結果と内部構造解析の違いが、観察定点の設置など不十分な調査体制にあると協会側が指摘した。


<協会側が指摘した、調査体制の問題点>
@調査期間
 調査期間自体は7年間と長いが、クマタカ調査の基本である繁殖期の1〜6月まで継続的に
調査された年はたった1年しかなく、行動圏を判定するには短い。
A定点数
 7年間の全観察回数は123回となっているが、このペアを観察する定点は平均すると2カ所(協
会側は平均2.75・・・それほど変わらないような・・・)で、このペアの行動圏をまんべんなく調査するには
不適切な体制である。
B定点位置
 定点位置が行動に影響を与えやすい尾根部設置された定点(=以下、問題定点)があり、通常の飛
行コースを迂回させてしまうなどのデータに人為的な影響を与えている。
C問題定点の設置
 繁殖テリトリーの把握するための調査において、人為的影響が考えられる問題定点の設置頻度が高
くなっている。
ペアの行動を把握する調査時においてはこの定点の使用は適切ではない。
D問題定点の設置2
 初期の調査時期に少人数で調査が行われていた期間に、見晴らしのよい問題定点を設定している
が、調査データとして適切でない。


<問題点のまとめと対応>
 調査体制の不十分さや問題定点の設置によって、当該クマタカペアの行動に人為的な影響を与えた
ことは疑いないと考えられる。そのようなデータを元に行動圏の内部構造を判断し、保全範囲を決定して
いることは問題が大きい。
 このような調査体制の不備を取り除いて、充分な調査をやり直した上で保全範囲の判定する必要がある。
また、現状では事務所側と協会側の双方が資料をすべて出し合い、専門性を持つ第3者グループに
データの統合と総合的な考察を依頼して、改めて必要な保全範囲を判断、もしくは追加調査の方法などを検討すべきである。


<クマタカ以外の主な問題点>
 クマタカの繁殖影響以外でも、ダムの建設による生物の影響はたくさん上げられています。
また、生物以外への影響として、八代湾への影響、台風の通過などによるダムの水量調節不能状態、
球磨川下りへの影響、加えて利水、治水、漁業、環境などのダム建設に必ず伴ってくる利害関係の問
題があります。

参考:
川辺川ダム計画のURL(自然保護協会)
http://www.nacsj.or.jp/database/kawabe/kawabe-index.html

<<<<以上、概要>>>>

<小野寺私見>
 事務所側の調査やその調査体制がすべて適切だとは思ってはおりませんが、実際に調査をやってい
る側として自然保護協会側の指摘について考えてしまうことがあります。

調査体制の問題点について
@1〜6月まで継続的な調査が行われなかったのは、発注元が工事事務所という所から来ていると思
います。この期間には1〜3月と、4〜6月という2年度にまたがる調査ということになり、継続的な調査を
行うことは困難となり、かつ3月の年度末には報告書を納めなければなりません。年度末が近づくとそこ
ら中を掘り返す道路工事(・・・信州ではこの時期コンクリートは固まらず、除雪もしなくてはならないと
いう不適切な工事時期だと思うのですが・・・)と並んで、お役所からのお仕事について何とかならない
ものかと思うところです。
 また、業者が調査をやる場合、猛禽類の調査のみではなく、同時に地域概要から始まり、地質や河
川水質や地下水、生物的なものでも、植物や哺乳類から始まり、両生爬虫類、魚類、昆虫類などなど
同時進行であらゆるものを調べなければなりません。
それぞれの調査に不備があることは極力避けねばなりませんが、これはけっこう大変です。
でも、調査を7年もやっていて、行動圏が把握できていないのはちょっと問題あるように思います。

A〜Dの定点設置については、非常に難しいことですが、第1に「繁殖に対しての影響がない」こと
を優先するべきだと思います。その点、事務所側の調査においても特に問題は見られなかった
(実際に繁殖が成功している)ように思います。
 調査地点の地形図を見ないと判断できませんが、通常クマタカをメインターゲットにした定点調査
は尾根よりも谷から見上げる形で行われることが多いと思います。これは調査をやってみますとわかる
ことなのですが、プロミナー(望遠鏡のようなもので、高倍率)や双眼鏡で飛行ルートなどを観察する際、
「空ぬき(=バックが空)」で見ていた方が、「山バック」で見るよりもはるかに見やすいからです。
 調査初期に尾根線で調査を行っていたという指摘については、周辺にどんな猛禽類が生息しているか
わからない状態ですので、調査法としては誤っていないような気がします。しかも調査計画段階では
クマタカのペアが繁殖していることはわかっていないはずですから、最初から大人数で調査するような
費用(税金)も当然出ないと思います。
 調査がペアの行動に影響を与えてしまうと考えられる定点では調査を行うべきではないと思いますが、
猛禽類調査がこのペアのみを調査している訳ではないので、ある程度見晴らしのよい定点での調査は
避けられないと思います。ただし、できる限りの対策(スクリーンの使用など)を講じるべきだった
と思います。
以前実際にクマタカの営巣地が見える定点で調査を行いましたが、寒冷紗の下でじっとして観察して
いると、定点のすぐ上を何もなく飛行していました。このような配慮がなかったことは少々問題だとおもいます。


調査全体に対して、
 やはり、根底には特定の地域の環境保全を考える場合に、「御旗」となる種をクローズアップしな
いと強力な保全策がとれない(猛禽以外でも個々の保全はできるが、計画の見直しまではできない)という
現状こそ問題があるように思います。
 本当は「様々な生きものが生息できる環境」そのものが最も保全対象とすべき環境だと思うのですが・・・、
それから、ダムの湛水によって洞窟口が水没するが、洞窟に生息している「特産種」の生息域は水没しない。
とされていますが、洞内の環境の変化が起こると思います。これだってかなり大きな問題だと
ぼくは思うのですが・・・・。この種こそ、世界でこの洞窟以外にはいないのですから・・・。



アメリカでは老朽化したダムを維持するのではなく、壊して元の流れに近づけているという事例が
テレビで放映されておりました。急峻な地形をもつ日本では治水対策も必要とは思いますが、
堰堤を1つ作るにも膨大な費用(税金)と、大きな生態系の攪乱が必ず起こります。
上流部に湛水型のダムを作ると渓流の水温が上がり、水質も変化します。
しかも治水ダムの考え方自体、土砂がたまったら下流にもっと大きなものを作るという
想定で作られております。ダムを次々に作り続けていく予算で、被害があると予想される
地域の公共物や住居を移動できないものかと考えますが、いかがでしょう?
災害危険地域図を公開するだけでも、かなりの効果があると思うのですが・・・・。


また、長くなってしまいました〜。
ではでは〜♪


この他に
事務所側のサイトには調査報告書が公開されています。
簡単にしか目を通していませんが、けっこう調査をしています。
http://www.qs.moc.go.jp/kawabe/kishafrm.html
調査報告書の参考になります。

熊本新聞社に川辺川ダムの特集サイトがあります。
こちらは猛禽類についての記事はあまりありませんが、
地域住民の事などが細かく描かれています。
http://www.kumanichi.co.jp/kawabegawa/kawabegawa.html


「こちら 信州自然環境情報局」では、皆さまのご意見やご質問などをお待ちしております
管理者までお知らせくださいませ。onomushi@janis.or.jp
また、相互リンクのご要望などについてここをご覧くださいませ。
(C) 株式会社 信濃公害研究所
転載等をご希望の方はご一報くださいませ。ご相談させていただきます。
信公研ロゴ。 こちら,信州自然情報局。
ただ今,信州環境ネットの見本を公開中!! 信州環境ネット。
環境や分析・測定技術、生きものに関して、
みんなで情報や意見を交換できたらいいなぁ〜
と思いメーリングリストを開局しています。
ホーム 当社のご紹介 採用情報 当社の地図 お問い合わせ ページのトップ
環境文化を創生する総合コンサルタント
株式会社 信濃公害研究所
長野県北佐久郡立科町芦田1,835−1
TEL 0267-56-2189 FAX 0267-56-0089